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社宅・借り上げ社宅の家賃相場の計算方法、役員・従業員の社宅の経費化に関する情報を初心者向きにわかりやすく解説。

◆社宅家賃の相場・税務の解説

◆会社が社宅を用意するもうひとつの理由

 社宅とは?の項でも解説してきたが会社が従業員に対して社宅を用意するのは社員の福利厚生の充実を図るという目的がまず第一の理由として挙げられる。

 会社側としては福利厚生を充実させることで従業員のモチベーションを保ち、また間接的に社員の離脱、いわゆる転職や希望退職を防止し人材の流出を抑制する効果も期待できるという訳じゃ。

 また自社所有の社宅は固定資産財産でもあることから、企業としての資産価値を高める上でも使いようによっては経営上の大きな利点として社宅を活用することも考慮できるのじゃな。

 しかし、会社が社宅を用意する利点にはもうひとつの理由が存在する点も覚えておきたいポイントじゃ。

◆住宅手当と従業員社宅制度の比較

 会社が従業員社宅制度を用意する目的は前述した福利厚生や企業価値、人材の確保などのメリットが考慮されている点はここまで解説してきた通りじゃ。

 しかし、単純に住宅費用の手当を行うのであれば、社宅規程を作成し毎年のように固定資産標準額の計算を必要とする社宅制度を用いるよりも住宅手当を支給した方が事務作業は大幅に省略化する事が可能となる。

 また、戸数が限定される社宅では全社員が平等に福利厚生を受けることが出来ない可能性があるという欠点もあり、逆に従業員の不満を募るケースも考えられるものじゃ。

従業員社宅制度のデメリット【画像】

 このように従業員社宅制度には幾つものデメリット、いわゆる欠点がある訳じゃが、住宅手当と社宅制度では会社が負担する金額に大きな違いがある点を把握しておく必要がある。

 この会社の負担額に大きな影響を与えている費用項目が近年になり大きな問題ともなってきておる「社会保険料金額」の事じゃ。

◆双方の利点を活かす社宅制度

 毎月の給与の明細を確認すると多額の社会保険料が給与から天引されておる事を確認できる。

 しかし、従業員個人が負担する社会保険料の半額は会社が負担している事は大半の方がご存じじゃろう。

 この社会保険料はここ数年で段階的に上昇しており全社員の半額を負担する会社にとっては大きな負担となっておるのが現状じゃ。

 尚、日本の個人にかかる税制の基本は累進課税制度となっておるため、収入が高くなるほど所得税も住民税も社会保険料も高額になっていく仕組みとなっておる。

 参考までに国税庁が発表しておる所得税の累進課税税率は課税される所得金額に応じて所得税率が以下のように設定されておるので覚えておくことじゃ。

所得税の税率表(累進課税)【画像】

 従業員社宅制度では非課税範囲内の家賃の支払いを会社が受けている場合は、社員の給与とみなされない。

 その為、所得税や社会保険料の負担増加を回避することに繋がってくる。

 しかし、「住宅手当」として給与に上乗せした手当金で支給した場合は社員の給与所得が増加するため、納税額も社会保険料も増加し結果的に半額を負担する会社は手当金として支給した住宅手当金に加算して社会保険料の負担も実質増加することになってしまうのじゃ。

◆社宅制度の導入と廃止の歴史

 バブル景気に沸いた日本では企業の福利厚生の一環として社宅制度を導入しはじめる会社が急増したものじゃ。

 しかし、バブル崩壊後には社宅制度の導入を廃止する企業が相次ぎ、社宅を売却し経営体制の改善を図る企業も多くあった。

 しかし、社会保険料の増額が今後も続く事がほぼ確定している現状から、会社、そして従業員とも増税とならずに双方がメリットを享受する事が可能となる従業員社宅制度は、改めて注目されるようになってきておるのじゃよ。