社宅とは?の項でも解説してきたが会社が従業員に対して社宅を用意するのは社員の福利厚生の充実を図るという目的がまず第一の理由として挙げられる。
会社側としては福利厚生を充実させることで従業員のモチベーションを保ち、また間接的に社員の離脱、いわゆる転職や希望退職を防止し人材の流出を抑制する効果も期待できるという訳じゃ。
また自社所有の社宅は固定資産財産でもあることから、企業としての資産価値を高める上でも使いようによっては経営上の大きな利点として社宅を活用することも考慮できるのじゃな。
しかし、会社が社宅を用意する利点にはもうひとつの理由が存在する点も覚えておきたいポイントじゃ。
会社が従業員社宅制度を用意する目的は前述した福利厚生や企業価値、人材の確保などのメリットが考慮されている点はここまで解説してきた通りじゃ。
しかし、単純に住宅費用の手当を行うのであれば、社宅規程を作成し毎年のように固定資産標準額の計算を必要とする社宅制度を用いるよりも住宅手当を支給した方が事務作業は大幅に省略化する事が可能となる。
また、戸数が限定される社宅では全社員が平等に福利厚生を受けることが出来ない可能性があるという欠点…続きを見る
ここまでは主に従業員社宅制度について解説を加えてきたが、ここからは経営者、会社役員が社宅制度を利用する場合のポイントについて確認しておくとしよう。
最低資本金制度(株式会社を設立する場合は最低1000万円の資本金が必要となっていた制度)の廃止移行、独立起業を果たす者が多くなった近年を考慮すると、本項はサラリーマンであっても独立時を意識して必ず覚えておきたいチェック項目であると言えるかもしれんのぉ。
尚、個人事業主の場合は営業活動を行う店舗や事務所の家賃は経費化することが可能じゃが、住宅費用を経費化するには法人を設立する必要がある。
その為、役員社宅制度は会社の経営者にとっては大きな利点となる制度である点を把握しておくことじゃ。
従業員社宅制度では、家賃相当額算定を行う際にひとつの規程に基いて計算を行なったのう。
しかし、役員の社宅家賃は国税庁が規定する3つの基準に基いて経費可能額の算出が異なってくる点…続きを見る
役員や従業員に対して社宅制度を導入する場合は、会社が負担する社宅賃料も役員・従業員から受け取る家賃も全て記帳することが義務付けられておる。
ここでは、豆知識として会社の会計処理についても解説をしておくとしよう。
会計ソフトを利用して帳簿を記帳している場合、課税・非課税等区分を選択する項目があるのぉ。
では、社宅費用として支払う地代家賃や役員・従業員からの家賃料の消費税はどのように扱えば良いのじゃろうか?
この答えは社宅に関わる費用は原則として全て「非課税」で会計処理する事が可能となっておる。
国税庁は例えば借上げ社宅の場合、貸主との建物賃貸借契約において社宅として使用することが明らか…続きを見る
役員が居住する社宅の賃料は、国税庁が規定する役員社宅制度3基準に則り賃料相当額を設定していく事は前項までに解説してきたとおりじゃ。
この社宅制度を上手に活用することで社長や役員が保有する持ち家を借り上げ社宅とし、社長や役員に再度貸し出す事が可能となることも解ったのぉ。
では、最後に社宅制度を用いて役員社宅のメリットを最大限に活用する方法について確認しておくとしよう。
個人事業主では活用できない法人組織ならではの社宅制度。
役員であれば、この税制的にも優遇され節税効果の高い社宅制度のメリットを最大限に活用したいと考えるのも当然じゃろう。
尚、役員社宅の利点を最大限に活かすには、役員の持家を活用する方法よりも、法人所有物件を役員に社宅として提供する方が利点が大きくなる事を覚えておくと良いじゃろう。
住宅を購入すると、毎年発生する「固定資産税」や「都市計画税」といった税金の支払いが発生することになる。
また、建築物は年数がたつにつれて必ず経年劣化していくものである。
そのため、築年数が経過すると少しずつ修繕箇所が増え修繕費やリフォーム費用も大きくかかるようになってくるのぉ。
持家の場合はこれらの住宅に関わる維持費は全て所有者自身の負担となる。
しかし、法人が社宅として購入した不動産物件に役員が住む場合は、住宅の年間維持費や修繕費用は所有者である会社が負担することになる訳じゃ。
これらの住宅にかかる費用は1年単位ではそれほど大きな負担に感じないかもしれんが、数年、数十年単位で考えてみると大きな金額となってくるのがわかるのぉ。
法人が不動産物件を購入する場合は、物件の建物部分に該当する金額を必要経費として経費化する事が可能となっておる。
但し不動産物件のような高額な資産を経理処理する場合は、購入代金を一括で経費化する事ができず減価償却資産…続きを見る