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社宅・借り上げ社宅の家賃相場の計算方法、役員・従業員の社宅の経費化に関する情報を初心者向きにわかりやすく解説。

◆社宅家賃の相場・税務の解説

◆役員社宅制度は会社役員の大きな利点

 ここまでは主に従業員社宅制度について解説を加えてきたが、ここからは経営者、会社役員が社宅制度を利用する場合のポイントについて確認しておくとしよう。

 最低資本金制度(株式会社を設立する場合は最低1000万円の資本金が必要となっていた制度)の廃止移行、独立起業を果たす者が多くなった近年を考慮すると、本項はサラリーマンであっても独立時を意識して必ず覚えておきたいチェック項目であると言えるかもしれんのぉ。

 尚、個人事業主の場合は営業活動を行う店舗や事務所の家賃は経費化することが可能じゃが、住宅費用を経費化するには法人を設立する必要がある。

 その為、役員社宅制度は会社の経営者にとっては大きな利点となる制度である点を把握しておくことじゃ。

◆国税庁が規定する役員社宅制度3基準

 従業員社宅制度では、家賃相当額算定を行う際にひとつの規程に基いて計算を行なったのう。

 しかし、役員の社宅家賃は国税庁が規定する3つの基準に基いて経費可能額の算出が異なってくる点がポイントじゃ。

 ではまず、この3つの基準について先に確認しておくとしよう。

役員の社宅制度3基準【画像】

 役員社宅では3つの基準が設けられておるが実際にはBの基準は、該当するケースが少ない事から最初の@A項目を把握しておけば多くのケースに対応できるじゃろう。

@小規模住宅の場合の役員社宅家賃算定(計算式)

 役員社宅の賃料算定で最も経費効率が高く節税効果が高いケースはこの@小規模住宅の場合じゃ。

 ここではまず始めに国税庁が定める「小規模住宅の定義」について確認しておく必要があるのぉ。

 国税庁が規定する小規模住宅の定義は建物の耐用年数によって床面積の上限が設定されている点がポイントじゃ。

役員社宅の小規模住宅の定義【画像】

 建物の耐用年数は、建築物の構造及び用途によって耐用年数が細かく設定されておる。

 しかし、社宅の場合は「住居用」としての用途が限られておる。

 その為、「@小規模住宅の場合の役員社宅家賃算定」において把握しておくべきポイントは木造かRC造かという点に絞られることになる。

役員社宅住居用建物の耐用年数表【画像】

 上図を見ても分かる通り、住宅用の@木造・合成樹脂造の耐用年数は22年、A木骨モルタル造の耐用年数は20年、そしてB鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)及び鉄筋コンクリート造(RC)の耐用年数は47年となっておる。

 役員社宅の小規模住宅の定義では、建築耐用年数が30年超か否かという部分がポイントとなるため、@Aの木造建築物件はいずれも30年以下なので132平米以下が適用、BのRC・SRC造建築物は築年数によっては耐用年数が30年超になる可能性がある為、物件の築年数によって99平米以下と定義されるケースもある事が解ってくる訳じゃ。

 木造か鉄筋コンクリート造かという点に絞られるというのは、この耐用年数30年がラインになっている為なのじゃな。

 しかし小規模住宅とは言え、この条件を見る限り現実的にはかなり広い範囲の物件が小規模住宅の定義の範囲内に入っておる事も事実じゃ。

 少子化が進む日本では近年の新築マンション物件の多くは100平米以下の物件の販売が主流となっておる。

 新築のSRC造マンションであっても99平米以下の物件であれば小規模住宅と判定できる為、役員は良識の範囲を超えるような豪華社宅を望まなければ、幅広い範囲で住居を社宅として利用する事ができるのじゃな。

 尚、この定義を満たす物件の場合は以下の3つの項目をそれぞれ計算し、最後に合算した金額が「役員社宅家賃の賃料相当額」として用いられる事になる。

役員社宅(小規模)の家賃計算式【画像】

 上図を見て何か見覚えのある感じがした方はおるかのぉ。

 実は、小規模住宅に該当する役員の社宅家賃算定式は従業員社宅家賃計算式と同じ計算式となっておるのじゃ。

 その為、@Bの固定資産標準額は、自社所有物件の場合は固定資産税納付書に記載されておる課税標準額の欄を確認。

 また、借り上げ社宅の場合は対象物件の管轄エリアに該当する市役所・区役所で固定資産台帳を閲覧し確認しておく必要があるのぉ。

 尚、固定資産標準額の計算は、こちらも同じく「その年度」の課税標準額を用いて計算する事になっておる。

 その為、役員社宅制度を導入する場合は、社宅費用が給与所得とみなされる事のないように、毎年1度固定資産税課税標準額から役員社宅の賃料相当額を計算し直すことを事前に計画に入れておくことが大切じゃ。

A小規模住宅以外の役員社宅家賃算定(計算式)

 役員社宅の賃料算定では、前述した小規模住宅の定義を超える床面積の物件の場合、以下の計算式を用いて家賃相当額を決定することになっておる。

 但し、自社所有物件ではなく借り上げ社宅の場合は、以下の計算式で算出した賃料と、借上料の50%相当額を比較し、高額になる方を役員社宅家賃の下限に設定する点がポイントじゃ。

小規模以外の役員社宅の家賃計算式【画像】

 この計算式を見ても解る通り、役員社宅の場合は小規模住宅以外の社宅になると最低でも相場家賃の半額以上の負担が必要となるため、@の小規模住宅の場合と比較すると家賃負担額が一気に高くなることが解るのぉ。

 役員社宅制度を用いて社宅を用意する場合は、このような家賃設定の計算を考慮した上で、延べ床面積や建築構造をチェックしながら効率的に社宅制度を利用していく事が大切になってくるのじゃな。

B役員の豪華社宅の家賃算定

 国税庁が定める豪華社宅とは、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められない住宅の事じゃ。

 具体的には役員社宅の総床面積が240平米を超える住宅が対象となっており、物件の取得費用や支払い家賃が相場から逸脱している場合などは豪華社宅と判定されるケースがあるのじゃ。

 また、仮に社宅の総床面積が240平米以下の物件であっても、プールやプライベート映画室など、役員個人の強い嗜好が反映されている住宅を役員社宅とする場合は、豪華社宅と判定される可能性がある点も覚えておくと良いじゃろう。

役員豪華社宅の定義【画像】

 尚、豪華社宅と判定された場合の役員の社宅家賃は、一般市場の家賃相場と同額程度の家賃設定とすることが定められておる。

 役員とは言え、度が過ぎる豪華社宅の経費化を認めないということじゃな。